貸金業法改正の背景
ところで、このようなハードランディングの呼び水となったのは、消費者金融大手の相次ぐ不祥事だった。2006年4月、業界第1位のアイフルが取り立てなどに違法行為があったとして、全店営業停止命令を受けた。続いて三洋信販も法令違反を指摘されて、十数日間の営業停止を受けている。これらはかなり厳しい措置であったが、消費者信用団体生命保険の顧客死亡原因に再調査のメスが入るなど、金融庁が動きだすきっかけとなった。
これにより、急成長をほしいままにしてきた消費者金融業界は、新規顧客の増加が頭打ちとなり、マーケットの成熟度が明らかになった。ちょうど貸金業規制法の見直し時期も近づきつつあった頃で、金融庁では06年から、政府・与党の委員会を中心に会議を重ねるとともに関連業界の関係者にヒアリングを実施するなど法改正の検討を進めてきた。その間、外資系金融事業者の意向を受けたロビイストからの圧力もあったが、法改正の焦点は、上限金利の下げ幅に絞られた。その幅は二転三転してなかなか決まらなかったが、最終的には利用者側の意見が通り、グレーゾーン金利はすべて撤廃され、20%以下まで引き下げられた。利用者にとっては最善の案であったが、業界にとっては最悪のシナリオとなった。
消費者金融業界はこの改正案で、深刻な曲がり角にさしかかったといえる。今後はこうした逆風の中で各社がどうやって新しいビジネスモデルを作り展開するか、新しい課題となってくる。
ところで、貸金業法改正は09年12月末の完全実施が予定されているが、実際には数段階に分けて施行される。公布日(06年12月20日)から1年以内の政令で定める日に、貸金業協会の自主規制機能強化や総量規制の導入が図られ(07年12月に実施済み)、そして、その日から2年半以内の政令で定める日に、みなし弁済の廃止や出資法上限金利の強制引き下げなどが行われる。
たしかに金融庁が危惧するように、多重債務者問題は深刻化している。国民生活センターも06年に多重債務者の実態調査を行っている。左の表は法律事務所に相談にきた人585人を対象にしたアンケート調査である。借入件数の分布では、従来4件までしか借りられないのに、5件から7件も借りていた人が35.5%と最も多く、続いて8件から10件借りている人も27.11%、5件未満という人は17%さらに1件以上という人は、20%以上を占めているということで、まさに多重債務者の実態が浮かび上がった。
こうした点から国民生活センターは、1.借手の返済能力を超える過剰融資の防止。2.グレーゾーン金利の廃止、上限金利の利息制限法金利への統一。3.債務に関する消費者教育の充実を提言した。金融庁の改止はこれらの調査をもとに進められたともいえる。
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