グレーゾーン金利の撤廃

グレーゾーン金利の撤廃

消費者金融業界再編の引き金となった貸金業法の改正についてふれておこう。貸金業界は出資法(上限金利29.2%)と利息制限法(上限金利15〜20%)という二つの法律によって規制されている。出資法の制限を超えた金利で貸し出すと3年以下の懲役、または3000万円以下の罰金が課せられる。ところが、利息制限法では、制限を超えて貸し付けても罰則規定がないため、多くの消費者金融、カード会社はその間のグレーゾーン金利(20〜41.2%)で貸し付け、高い収益をあげてきた。しかし、その一方で、このグレーゾーン金利か多重債務者を増加させ、自己破産者を増やしているとの指摘が弁護士や消費者団体からあり、長年にわたって議論の的になってきたのだ。

このダブルスタンダードが定着したのは80年代前半の「サラ金地獄」の時代である。75年頃から消費者金融を中心とした貸金業者が急増し、「過剰貸付」「過酷な取立」「高金利」のいわゆる3Kが社会問題化した。この問題が国会で取りヒげられ、与野党の協議の末に83年に貸金業規制法が成立したが、その結果、貸金業者に登録制が導入されるとともに、国が定めた金利の範囲内での貸付を義稗づけることになった。

逆に言えば、貸金業者はこの金利内なら自由に営業できるというお墨付きを得ることになったが、以来、弁護士や消費者団体は、グレーゾーン金利をなくすことで多重債務の問題の多くが解決すると主張してきたのだった。そして、今回やっとグレーゾーン撤廃の改正法が成立し、多重債務者撲滅に向けた第一歩になると多大の期待を集めているのだ。

改正貸金業法の骨子は、左の図のように厳しい内容となった。そのため、貸金業界は戦々恐々である。上限金利引き下げによって、消費者金融やカード会社は多大な影響を受けるとみられるからだ。いままでグレーゾーン金利で潤ってきた消費者金融業者やキャッシング比率の高いクレジットカード会社にとっては、この引き下げは経営への重大な打撃であり、企業存亡の危機をも意味している。というのも、消費者金融業界は高コスト体質で、損益分岐点は、金利20数%といわれている(中小の場合)。したがって、今回の上限金利20%への引き下げは死活問題となるのだ。

経営の基盤になっていた金利収入が大幅に減少することが確実な状況になり、これまでのビジネスモデルでは事業継続が不可能なのだ。そのため、各社は新しいモデルを探そうと必死だ。 さらに貸金業者を追いつめているのが過払金返還請求である。これは金利引き下げに伴い、これまで払いすぎてきた利息を、利用者から請求があった場合は、返還しなければならないという決まりだ。この請求に備えて各社は膨大な引当金を積む必要に迫られ、これが経営を圧迫する要因になっている。

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